月影は花か実と況ん(や)。

TVアニメ「博多豚骨ラーメンズ」の情報を収集・整理・発信する非公式ブログ。野望は【目指せ・2期!】

【舞台レポート】舞台「博多豚骨ラーメンズ」を観にいきました!(2回!)

梅雨明け後に一気に気温上昇!そして台風と、危険な夏が訪れました。皆さま、体調はいかがですか?花楠です。

体調不良と多忙により、一か月ほどのご無沙汰更新となりましたが、最初の宣言通りのびのび続けてまいります。

 

さて、さる2019年7月17日(水)、18日(木)に、東京・シアターサンモールにて舞台『博多豚骨ラーメンズを観劇してまいりました。

2.5次元舞台でしたが、原作とアニメの良さがふんだんに盛り込まれた、実に素晴らしい面白いかっこいい舞台でした!

皆様にこの感動を届けたい気持ちを込めてレポートします!

(※8/9一部加筆修正しました。)

 

この先ネタバレしかありません、ご注意!

 

 

舞台基本情報

公演期間・場所
  • 2019年7月13日(土)~21日(日) (全13公演)
  • シアターサンモール(東京・新宿)
  • 内、7月17日(水)夜の部(ソワレ)、7月18日(木)昼の部(マチネ)を観劇。

舞台数1、客席数294の劇場での公演でした。この規模の舞台だからこそ、演者と客席との距離が近く、舞台上の仕掛けも洗練されていました。

 

舞台公式ホームページ 

wup-e.com

キャストビジュアル、スタッフ、グッズ情報などは、こちらでご確認ください。

 

★舞台「博多豚骨ラーメンズ」7/13始動★

今回も「#めんツナかんかん 」コラボしました。
キャストオリジナルラベルは全12種類。
2缶セット(全6種類)を7/13より上演会場にて販売します。
数量限定ですのでお早めに♡

・会場販売グッズ詳細https://t.co/oXJ5T2bq5D#ふくや #博多豚骨ラーメンズ pic.twitter.com/m3K5ataIOd

— 株式会社ふくや (@fukuya_mentai) July 12, 2019

もちろん、あの「ふくや」さんも全面協力!数量限定セットは公式サイトで8/31まで通販受付中です!舞台《博多豚骨ラーメンズ》×ふくや 博多豚骨ラーメンズBUTAIセット | 味の明太子 ふくや

 

舞台版あらすじ

  グローバルシティ・福岡市博多区は陰では犯罪とマフィアの抗争がはびこり、「人口の3%は殺し屋」「殺し屋専門の殺し屋がいる」との都市伝説がささやかれるほど、裏稼業の激戦区となっていた。

 若き女装家の殺し屋・林(リン)は、故郷に残した家族と借金返済のために、マフィアの雇われ殺し屋として酷使される日々を送っていた。

 ある日、私立探偵・馬場(ばんば)の殺害依頼を受けるも、雇い主への反抗目的に「馬場を後任の殺し屋から守る」ため、探偵事務所へと乗り込む。

 当の馬場は、懇意にしている刑事・重松(しげまつ)より依頼された「先輩刑事の不審死」を探るべく、マフィアと癒着する福岡市長・原田(はらだ)の悪事を追っていた。

 こうして出会った二人は、守る側、守られる側には収まらない、奇妙な信頼関係を築いていくことになる。

 

 その一方で、他の裏稼業の男たちも動き出していた。

 殺人請負会社の新入社員・斉藤(さいとう)は、業界向きでない性格ゆえに左遷。次に仕損じれば自身の命がない状態で福岡に異動後、初仕事「学生殺し」に挑む。

 復讐屋・ジローは、「外国人への集団暴行殺人」と「猫連続虐殺」への復讐代行を引き受け、小学生助手・ミサキ、拷問師のマルティネスらと共に、ターゲットに近づいていた。

 福岡市長・原田お抱えの殺し屋・宗方(むなかた)、麗子(れいこ)のチームは、市長選前の重要な時期にもかかわらず、令息・原田ユウスケの犯罪行為とその尻ぬぐいに手を焼いていた。

 天才ハッカー情報屋・榎田(えのきだ)、凄腕スリ師のホスト・大和(やまと)らも加わり、アウトローたちの暗躍は激化。

 

 そして、目的を果たした林は、故郷にいるはずの妹・僑梅(チャオメイ)が、この博多で殺害されたことを知ってしまう…。

舞台の特徴

舞台版は原作1巻=アニメ1~4話の内容が、 多少のカットや改変、そして舞台ならではのプラス要素を盛り込みつつ、100分の公演時間にきれいに収められています。

全体的にコメディ=笑いの小ネタが非常に多く盛り込まれていて、「犯罪者たちの話なのに、なぜか人情味があり、和む」という「はかとん」の根底にある精神が舞台上で表現されていました。これは、原作を全く知らない方でも入っていきやすい配慮であるとも思います。

冒頭、舞台全面中央にあらわれた林が自身の境遇を語るところからスタートし、斉藤の就職事情が明らかになったところでOP!全員集合でキレッキレのダンス!ものすごくかっこよくて震えました…美形しかいない生ダンスシーンうつくしい。そりゃ熱心な観劇ファンが産まれるわけだと心底納得しました。

ところでこの舞台の重要なポイントとして「ダンスはOP、EDのみ」「ミュージカル(歌唱で話を進める要素)なし」が挙げられます。構成がガッツリ演劇(そしてアクション!)に振られているのですね。

また、舞台セットが非常にシンプル(そして回転式)で、とうぜん複数のシーンで同じ場面が使い回されるのですが、これがまた博多豚骨ラーメンズ」の世界に違和感なくフィットしている。シンプルであるがゆえに観客の想像力を自然と底上げして見せる様は「一人の人が、舞台を横切って歩く。それだけで演劇は成立する。」(演出家ピーター・ブルックの言葉)を体現しているとさえ感じました。

小物使いもよかった!特にあの「裏社会人御用達名刺」!アニメでもばっちり再現された「ライターの炎であぶると色と文字が変化する!」が、舞台上でもばっちり表現されていました!まるでジローさんが魔法を使ったようで、初見で思わず「わー!」と歓喜の声を上げてしまいました。

この舞台は演劇界、特に小劇場型演劇に心血を注いできた人々が、長年かけて研鑽した舞台セット技術の一つの結実と言えるのではないでしょうか。

 

と、つらつら書きましたがこれらの点については、映像で見ていただければ、さくっと伝わると思います。ゲネプロ(=本番仕様の最終リハーサル)のダイジェスト映像が公開されていますので、どうぞ!


舞台『博多豚骨ラーメンズ』公開ゲネプロ丨エンタステージ

 

もうね、このスクショの林ちゃん&馬場さんのツーショットだけでも「キャラクターが降臨した!!」って震えがきますよね。セット左上の大きな穴が気になりますよね。斉藤くんの語りから流れはじめるOPかっこよすぎますよね。そうなんですかっこいい舞台なんですよ!(※昂ぶるこの思いは、今後も継承されていきます)

 

圧巻の台詞回し

舞台ですから当然、セリフと演技によってお話が進みます。この台詞回しがまた良い!

そも「博多豚骨ラーメンズ」はキャラクターの温度を感じさせる台詞の数々が魅力の一つ。原作、コミック、アニメと各メディアに最適化された台詞回し、舞台ではその全部乗せのいいとこどり+αとなっています。原作付きメディアミックス群の後進だとこういうことができるのか!と膝を叩きました。(もちろん、舞台オリジナルのセリフも盛りだくさん)

さらに、これを生身の俳優さんたちが素敵なお声で、その時々の空気を取り込み演じるわけですから、つまりは最強。いやー、すごかったです。その場で発せられた言葉を耳で聴きとるって、こんなにも胸が高鳴るものだったのかと思い知りました。

また、先述したとおりコメディが多く盛り込まれたこの作品、俳優さんたちの笑いにかける情熱が凄まじく、シュールギャクからシリアスな空気の中に一筋光る笑いまで多種多様過ぎて、もう笑って笑って途中でお腹痛くなりました。やばい。

 

カットと改変もあり

カット&改変要素は主に登場人物の整理・減数です。未登場の主要キャラクターは以下の通り。

  • 豚骨ナイン:源造さん、佐伯先生
  • 市長チーム:イワノフ、紫之原

 私個人としても大好きなキャラクターばかりなので正直残念ですが、公演時間に限りがあることを考えると、致し方ないこととも思います。(アニメ、コミックなど他のメディアミックスでも同じことは起こり得ますしね。)

ちなみに豚骨ナインのお二人は「姿は見えないが、本来の役割をもって存在している」という演出がとられています。

また、減数=引き算の美学とも言い換えられるわけで、人員を減らすことでギュッと濃縮還元されることで活きる輝きもある。

紫之原の役割は、麗子さんに集約されたことで彼女の「美しすぎるハイパーできる女殺し屋」としてのキャラクター強度が格段にレベルアップしていました。俳優さんの個々の詳細な感想は後で語りますが、もう観客みんな麗子さんの強さ美しさにメロメロで、現実世界ではこんな現象が起こりました。

【物販情報】
アクリルスタンド・麗子(永瀬千裕)が完売となりました。また、以降の公演でも追加販売はございません。恐れいりますが、ご了承くださいますようお願い致します。

— 舞台「博多豚骨ラーメンズ」公式 (@tonkotsu_stage) July 18, 2019

 公式グッズ、俳優さんビジュアル使用のアクスタのうち、最速で売り切れたのが麗子さんですよ。

RT>麗子さんが売り切れちゃうのわかる!
なにかもう空前絶後のハイパー素敵な存在だもの!好き❗#はかとん

— 花楠 (@0423_rappisch) July 18, 2019

 ↑個人の感想ですが、これが売り上げで証明されてますからね!完全にプラスに働いてます。イワノフ撤退のあれこれについては、次の項目に続きます。

 

プラスされた要素

アドリブの数々

生の演劇のお楽しみとして、公演ごとに俳優さんが毎回違うアドリブを入れる箇所=日替わりネタが用意されていました。主なネタはこちら。

  1. 馬場が銃声代わりに使う風船の色
  2. 馬場がバッティングセンターで模倣する野球選手(実在)のフォーム
  3. 馬場がクラブミロワールを訪れる際の「入店芸」
  4. マルティネスがターゲットの自宅を訪れる際の第一声
  5. ミサキが斉藤に読み聞かせる本の内容
  6. 大柄で目が光る無名の殺し屋への「命名

①は重松さんの天然ツッコミ&フォローが面白すぎて、腹抱えて笑いました。(後述します)

②演じた俳優さんが野球好きということもあり、毎回気合入ってました。ちなみに18日公演がDVD収録日で大人の事情により実名だしちゃダメなのに、有名選手過ぎて思わずポロリする場面(イチロ…)もあり、笑いが起きていました。

③当然追い返したい気持ちがあるクラブ店員に激しい口調でツッコミを受けながら、定番後のやり取り後に追加2~3パターン挑む(ドライブスルーとかね!)という、大変厳しいチャレンジ。座長はつらいよ。店員役の方のツッコミもキレッキレです。

これがマルさんのセリフ第一声というすごいやつ。俳優さんのプレッシャーも凄かったんじゃないでしょうか。お疲れ様です!

⑤本のタイトルだけでも笑いをさらっていくのですが、現場にそぐわない平和過ぎる内容をミサキらしく淡々と読み上げていくのが、またよかった。

⑥文字通り、その場で殺し屋に名前を与えるというアドリブ。イワノフが無名の存在になったことを逆手に取った演出ですね。実在する商品・作品名をちょっとシュールにもじった名前が多かったように思います。(例:「フ○ッコのおまめさん」@7月17日ソワレ、「タピオカミルクティー」@7月18日マチネ)当然、その名前で最後まで通すので、相当にシリアスな場面でもこの名前で大真面目に演技します。林役の俳優さんが思わず顔をそむけて笑いをかみ殺す場面も。ほっこりしました。

また、俳優さん同士で応酬の空気を読みあう、前の幕での演技を汲むなど、その場その場でぶっこんで来る細かいアドリブも挙げていくと、もう本当にキリがありません!アドリブは公演を重ねるごとに加速していったそうで、舞台は生もの、生きている人間同士の応酬で、本当に同じ公演は一度として見ることができないという事実を刻みました。

 

殺陣アクション!

殺し屋殺し・にわか侍の武器は日本刀、ということで劇中にはたびたび殺陣シーンが登場しますが、これがまた鋭くかっこいい! 舞台という客席真正面+鳥瞰からのアングルで、美しく魅せるように計算されつくした構図、それを完璧に体現して見せる俳優さんの動きには「リアルにわか侍!」と震えました。

この舞台では日本刀アクションはにわか侍の専売特許ではなく、林ちゃんはじめ他のキャラクターにも相応の見せ場があります。この流れに自然と持っていく脚本、そしてそれぞれの立ち回りの凄さに圧倒されました。DVDで何度も見返したい!

もちろん、各自の武器&徒手空拳でのアクションシーンも素晴らしいです。林ちゃんのナイフファイトと銃撃戦。馬場さんの長い脚から繰り出される飛び蹴り。アンサンブル(=役名がない人物、様々な役を兼任する)の皆さんが加わっての乱闘などなど、アニメか!?というくらいド派手なアクションが舞台上で縦横無尽に繰り広げられました。DVDで何度も見返したい!(何度でも言います)

 

舞台音楽

音楽はこの舞台の為だけに作曲されたもの。OPだけは↑の動画で試聴できます。まさしく実写版はかとん!というかっこいい劇判です。もちろん、舞台上で実際に流れた音楽は多種多様な色にあふれていました。開演前、客席にも流れていたのですよ。

 

アニメのサントラ(中川幸太郎さん作曲)はジャズテイストを取り入れていましたが、舞台劇判でもその流れを汲んでいたんじゃないかと思います。アニメを見ていた人でも「ああ、これこれ!」とすぐに入っていけるくらいには親近を感じるけれど、でもそれぞれの趣きがある、といった具合。劇判CD、配信でもよいのでぜひとも発売してほしいですね。

あと効果音!鍵の開閉、風船の破裂、バットにボールが当たるor空振る、スコープに脇差が…などの音は、それぞれに専用の音が割り振られ、かつ毎回微妙に異なる俳優さんの演技(のタイミング)に完璧に同期していました。そのことに気付いたときの興奮と言ったらなかったです!音響のプロ凄い!

 

キャラクター=俳優語り

 ここからは、各キャラクターを演じられた俳優さんたちの活躍、その輝きについて個人的な推しポイントを語ります。長いです。

馬場善治役:近藤頌利さん

もっとも底の知れないキャラクターであり、初単独主演公演で座長をつとめられた近藤さん

舞台『博多豚骨ラーメンズ』初日ーー!!
ご来場本当にありがとうございます😊

いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたでしょうか?
感想のほどお待ちしてますねー!!

リンリンと。

全13公演。全員で!!#はかとん pic.twitter.com/XtMJvCbC0d

— 近藤頌利【劇団Patch】 (@p_shori_k412) July 13, 2019

足がとんでもなく長くて、顔が小さくて、細身でスタイルのよい馬場善治(※公式設定、だが頭は鳥の巣である)をこの世に顕現させた逸材です。無論イケメン。また、声のトーンが素敵。太めでよく響く、それでいて穏やかな声で、博多弁をお話しされると、その外見と相まって「馬場さんだ!」とすとんと受け入れられました。

「あんたはもう少し、人に頼ることを知った方がよか」「明太子、5年分やからね」「ほら、林ちゃんがここにいる理由あったやろ?」といった名言の数々が胸に響きます。それをまた、高い腰をくっとおとして、林ちゃんの目線の高さに合わせながら仰るんです!この人の言葉だから、林ちゃんを博多につなぎとめることができたんだろうなという鋼の説得力。

近藤さんの年齢は、キャラクターの設定より少しお若いのですが、あの安定感はなんなんでしょうか俳優すごい。

あの長い脚で、スパーンと飛び蹴りを食らわせる様は視覚効果抜群でした。(バレエのグランジュッテか!?というくらいの跳躍。鍛え抜かれたアスリートの技ですよあれ)

もちろん、スーツの股下スレンダーすぎるにわか侍ver.も素敵です。日本刀さばきは鋭くもねちっこい。殺し屋としての使い手感が非常によく表れていました。

にわか侍。#はかとん

楽しかった! pic.twitter.com/94qGJoBB3S

— 近藤頌利【劇団Patch】 (@p_shori_k412) July 22, 2019

笑いを誘うシーンでは全力で弾け(その時は実に少年ぽくてほほえましい)、日替わりネタでは、全13公演それぞれ異なる芸を見せつけるアドリブ職人でもありました。シリアスとギャグの緩急ふり幅が激しすぎて、こっちは息も絶え絶えです。(ドライブスルー、ほんとすき。)

また、カーテンコール(以降は「カテコ」と略称)では、座長として締めの挨拶をされました。もちろん、各カテコ分、毎回です。(17日ソワレ、18日マチネはそれぞれトリプルカテコだったんですよ!千秋楽にいたってはクアトロ!)すごい偉業!私の観劇時は「隣の人と博多料理食べに行ってください!」「平日の昼間なのに満席、すごくありがたいです!でも夜の部の方がすいてる!みんな観に来て!」等をお話しされていました。

「みんなを聖地・博多に連れていきたい!そこで公演を!」という座長そして一俳優としての強い意志が感じられました。是非とも叶えたいですね!

 

林憲明役:竹中凌平さん

 

 若き女装家の殺し屋&馬場のバディを演じられた竹中さん

この舞台は「暗転からライト全開!→林ちゃんが舞台最前面に立つ」というところから始まります。幕開けからパッと見、どうあがいても女の子にしか見えない美人が降臨するわけです。美しすぎる!!と息を呑みました。

原作通り、ミニスカート&二―ハイソックスといういで立ちなんですが、足が細くて長い!顔が小さい!何着てても美人!全方位どこから見ても美人!至近距離でも美人!(ツイート参照)いやもう本当にすごい役者さんを召還したものだなと思います。だがしかし男だ!という部分にもしっかり対応。しゃべって動くと、芯からかっこいい男子なんです。でも超美人。

ちょっと話がそれますが、昨年に実施されたアニメ『博多豚骨ラーメンズ』円盤購入者向けYouTube生コメンタリー配信において、ジロー役の声優・浪川大輔さん「林があの美貌であの声(低音のcv:梶裕貴さん)というのは、背徳感がある」という旨を発言してらっしゃいました。

正直なところ、当時の私にはいまいちピンと来なかったのです。はいとくかん、ってなんだろう?林ちゃんはかわいくてかっこいいぞ、一緒に演技された人だからこその感覚なのかな、と。

で、話を元に戻しますと、舞台上で演技する竹中さんを見て勘づきました「これが背徳感か!!」と。わかりみがやっと2.5次元に追いついた2019夏、ヤバイですよあれは…。

劇中で数多くの殺し屋アクションをこなしてみせた竹中さん。OPダンス終わって即時の流れで第一の殺人でしたしね、切り替えも凄い。事務所にかち込みかけるときの「相手に飛びついて、ぐるっと一回転しての全方位回し蹴り」はちゃめちゃにかっこよかったです。アンサンブルの方との連携も抜群!ナイフ、銃撃、日本刀と多くの武器を使いこ成す姿は、プロの殺し屋そのものでした。

低くもはきはきと聞き取りやすい声で「常に苛立ち、怒り、感情を爆発させる、まっすぐな林憲明」を力強く演じてらっしゃいました。そして、物語のハイライトの一つである「家族の死を知らされた時の絶望の叫び」は、もう凄かった。

崩れ落ちて床にうずくまりながらの絶叫。そしてたっぷり沈黙してから、ふっと立ち上がり「…殺してやる」。声もそうですが、全身から殺気が立ち上ってて、視線だけで殺されそうな勢い。(林ちゃんが独演する場が多かった、舞台左手の前から二列目に座っていた私が言うんだから間違いない!)

そんな林ちゃんが馬場さんに出会い、少しずつ人間性を取り戻していくような、行く場所帰る場所ができてからの戸惑いつつも絆されていき、命を救われて…本人も自覚ないまま急速に信頼感が増していくの、アニメでも「おおっ!」てなったところは何度見ても良いものです。

特に舞台では、馬場さんの生首を見た後、絶望→相手にくってかかるアクションが追加されている=「馬場まで…許さねえ!!」要素が入っているのは燃えましたね!あれすごくよかった!日本刀ファイトもかっこよかった…にわか侍から刀を託される、継承という流れも素敵でした。

カテコ時も「林憲明というキャラクター」を保持してらっしゃるのか、強気な態度で近藤さんにびしばしツッコミ入れる姿がほほえましかったです。 もうすっかり二遊間ですね!(それとも、女房役?)

 

斉藤和樹役:安達勇人さん

人畜無害な巻き込まれ役と思いきや、とんでもないストライカーに化けた斉藤を演じた安達さん

ゲネプロ映像を見ていただければわかるように、斉藤くんの語りからOPに突入します。ある種、 狂言回しの役割を務めているわけですね。そして斉藤くんは、とてもよくしゃべり動きます。

例えば、「マーダーインクの面接を受けた!落ちた!受かった!合格通知はなぜか矢文!でも入社したら超絶ブラック!」という流れを、早口気味の一人語りでテンポよく進めながら、小ネタマイムを挟む挟む!もう一時だってじっとしてはいないんじゃないかという有様でした。

異動後の初任務に挑むとき、復讐屋一家との絡み(も、凄まじかった!隠れランジェリー好きが要素として追加されてました)などを経た中盤からはもう、ただ動くだけで面白い境地に達していました。おそらく最も小ネタ運動量の激しい人。いったい何度笑わされたことか!(↓ツイートは動いている斉藤くん)

アニメの斉藤くんは「あくの強いキャラクターたちに囲まれた一般人キャラ」として逆説的に目立つ存在でしたが、舞台の斉藤くんは「全力で斉藤たることを主張」しに行ってました。

そして、トータルでの細かいセリフアドリブ件数が最多なのは斉藤くんではないかと思います。復讐屋一家との絡みでは、特にそれを感じましたね、舞台上で凄まじい化学変化が起きてました。(受けて立ったジローさんも強いぃ。)

あと、唯一歌唱するキャラクターだということも要注目ポイントです。ミュージカルではなく、柳○慎吾御大リスペクト芸からの架空の高校野球部応援歌という、カオスな独演会が始まった時には腹筋が死にました。安達さんが歌手活動もされているために実現したカオス。歌詞がナチュラルにやばいやつ。

でもね、そんな彼が「復讐してください!」と震えながら訴えるシーンは実に人間臭くて、ぞくぞくしました。クライマックスで一投入魂する姿は文句なしにかっこいい!ある意味、馬場さんを越える振り幅キャラでした

また、声優として活躍しておられることもあって声がとっても素敵!話し始めると素直に「斉藤くんだ!」と思えるような、ほんわか優しいお兄ちゃん声です。原作以上にミサキちゃんとの絡みが多い斉藤くん、二人が仲良しなの、ほのぼのしました。

(↑みんな仲良し!) 

 

榎田役:戸田翔さん

人を食ったような雰囲気と、縁の下の力持ち!万能ハッカー榎田そのままを降臨させた戸田さん。

 原作でも大人気キャラの榎田くん、おそらく原作&アニメからの追加変更点が最も少ないキャラクターだったと思います。

格闘シーンがないのも、そのまま。本編内で目立つアクションをプラスすることができないんです。つまり、あのハッカー榎田そのままを、舞台上に顕現させる必要がある…という、シンプルに高いハードル。それを見事に跳んでくださったのが戸田さんでした。

 口開いた瞬間「あれはもしかしてcv:小野賢章か!?」でしたからね。声質&人を食ったようなふわふわした話し方はアニメそのまま。誰に対しても、いつどんな状況、ピンチであっても、少しも温度が変わらないんです。「一見人間味が薄いが、誰であれ報酬分以上の仕事をきっちりこなす、味方を売っても裏切りはしない!」仕事姿勢そのものですよ。

表情や挙動も素晴らしかったなあ。OP時に一人ひとりにスポットが当たるソロアピール箇所があるんですが、榎田くんは「指を唇にかけて、ぐいっと頬を右にひっぱる」という、例のあれを!やってくださいました。動作としては一瞬ですが、強烈なキノコインパクトでした。

ツイート画像の舌ペロとか、アニメ7話で見ましたね?「ドリンクバー」と言いながら、ネカフェ内を颯爽と歩く姿勢とか歩調とか(背筋がしゃんとしていて、だらだら歩くとかしない、スポーツマンだからね!)、麗子さんに一瞬触れる手とか、柔和でありながら強気な、くしゃっとした笑顔とかもうまんま榎田くん。

つまり一挙一足すべてが榎田くん!演じられた戸田さんは、いったいどれだけ研究されたのでしょうか?役への愛とリスペクトなくして、あれはできませんよ!

さて、様々なキャラクターの橋渡し役でもあった榎田くんにも、笑いの神は舞い降りました。ドリンクバーで堕天ドリンクを作成したり、尺と依頼人の都合で強制的に舞台回転さようならさせられたり、大和くんのリフレイン芸(後述します)のオチをそっと拾ってあげたりと、舞台上の現実とメタを行ったり来たり。こういう参入の仕方まで実に榎田くんだったと思います。

(↑こういうところまで、榎田くん!) 

 

ジロー役:鵜飼主水さん

 しなやかな母性と裏社会の男としての力強さに心優しいツッコミ属性、最強オネエを降臨させた鵜飼いさん。

舞台はかとんは、公演前にTwitter上でキャラメイク写真が公開されていたのですが、私が真っ先に「まんまやん!?」と驚いたのがジローさんでした。

(↑このほほ笑みまぶたの下がり具合をご覧ください!サスペンダーもちゃんと片方外れてるしね。)

もう写真の時点でジローさん、もちろんしゃべっても動いてもジローさんです。オカマ(オネエ)役に挑戦されたわけですが、もうその演技が細かい細かい!

とととっと一気に走る姿勢、愛娘の肩に触れるとき、指がしなを作るさま、馬場さんの隣に腰かけたときの足のふんわりした三角具合とか、すみずみまで「ジローちゃん」という挙動でした。足の描写に注目しがちなのは、舞台だからというのもあると思います。(アニメでは上半身中心かな?

話し方もナチュラルに女性的でかわいらしい、なのにこてこてに作り込んだ感じがしないのですよね。ふんわり優しい雰囲気が全体からあふれ出ている。「神は細部に宿る」という言葉がありますが、こういうことを指すのかなと。

また、裏社会アクションがかっこいい!鵜飼さんは俳優&殺陣振付師でもある方なのですが、素手vs日本刀の格闘シーンは凄かった!麗子さんとのやりとりをああも膨らませて見せるとは、誰だあんな脚本考えたの!(※米山和仁さんです。)すき!あのシーンは何度も見返すと思います。

そして、ダッシュ壁ドン、野太い声でテストフルスイングした鉄パイプの存在感、忘れない。

そして、ジローさんは作中屈指のツッコミ役でもありました。初登場シーンのマルさんの挙動(後述します)にツッコミ(そして優しく次のテイクを促す)、荒ぶる斉藤くんにツッコミ、ミサキちゃんのあれげな発言に動揺しながらツッコミ…、でもそれでいて、ツッコミ方がすごーく優しい。

「も、もうっ、○○なんだからねっ、ちゃんとやって?ね?」とすべてのボケを優しく拾って、ちゃきちゃき投げ返してあげるの、マジお母さん。大の男相手(マルさん、斉藤くん)でも徹頭徹尾アシストするので、ますますもってチーム復讐屋のおかあさんという姿が印象的でした。

 

ミサキ役:星守紗凪さん

修羅とランドセルを背負ったプロ小学生として、綺羅星のごとく輝いた星守さん

正直に告白しますと、劇場で生の演技を見るまでずっと不安でした。小柄で可愛い女優さんだけど、成人女性がミサキちゃんを演じるってチャレンジャーだな、と。

その大変失礼な思い込みを、豪速球でふっとばしてくださったのがミサキちゃん=星守さんでした。

 星守さんの演技には「ミサキちゃん=復讐屋助手がここにいる!」と思わせる凄まじいパワーがありました。

ミサキちゃんの台詞は、主要登場人物の中でもっとも少ないのです。しかしその分、要所要所で極めて効果的に用いられています。「庭にボールが入っちゃったんですけどー」「ミサキが本を読んであげる」「○○って、なあに?」「だまれ。」「もどってきたら、また、遊ぼ?」などなど、これらの台詞後は、舞台のカラーと方向性が(シリアスにもコメディにもほのぼのにも)ガラッと変わるのです。

そして、どの言葉も話すトーンと速度が一定で、テンションの急激な上下もない。常にローテンション気味にチューニングされていました。そしてその声質はまさしく「復讐屋助手としての小学生」でした。子ども全開!じゃないんですよね。やや低め、でも決して大人でも、10代の若者でもないという絶妙な声色。これが終始徹底されていました。

星守さんは、声優さんであり、2.5次元舞台や実写映画も数多く踏破されている女優さん。そのご経験がフルに注ぎ込まれているのでは?と感じるほどの職人芸でした。

また、ミサキちゃんの挙動ひとつひとつがかわいい!インターホンを押して話しかけるときの背中の丸まり、引っ越しの挨拶品を決して受け渡さないあの姿勢、「カブトムシのひみつ」朗読(名作!)、ランドセルからチラシを取り出して壁に貼る、みんなでゲームにいそしむなどなど。

基本は大人しいのですが、たとえば腕をピーンと前に張り出す仕草なんかに、小学生らしさが宿っている。ジローさん、マルさんに慈しまれて、にこにこ嬉しそうにしている姿も素敵。

最終的には、ランドセル背負って無言でたたずんでいるだけで、舞台に目が引き寄せられてしまうほどの存在感がありました。舞台版ミサキちゃんが星守さんで、本当に本当に良かった!

 

ホセ・マルティネス役:新井將さん

高身長筋肉質拷問師明るいラテン系ゲイという特盛設定を、肉体からばっちり表現して見せた新井さん

 「きんにく つよそうだな!」がビジュアル初見時の忌憚のない感想でした。宣材写真だと色白で線の細い方に見えるのに、脱いだら凄い!もう肌の色どころか身長まで増しているように見えます。すごい、すごいぞ新井さんの肉体美。

見た目通りのパワーキャラ、かつ知的で温厚、おちゃめな紳士であるマルさんを、スマートに、そして力いっぱい演じてらっしゃいました。

もちろんファイトシーンは筋肉フル活用!虐殺青年を瞬殺で取り押さえる手際(イタイイタイ!)。林ちゃんとの復讐ファイトは、突き出されるナイフを美しくかわす姿が、アニメの再現そのままで圧巻!(その後の紳士的な会話も素敵なんだ)

油断した斉藤くんにワンパンくらわして肩にひょいっとかつぎあげてしまう勇姿には思わず「おおぉっ」と声が出てしまいました。あんなアンバランスに暴れる人を運搬しちゃうなんてすごいぞー!

そして忘れてはいけない、初登場シーンですね。スキップルンルンで豪邸の前に現れたジローさんに続き、両手を大きく振り回してから豪邸を見た感想をなぜか英語でオーバーに叫ぶ芸が第一声。

…これ相当に勇気がいることだと思うんですよ。だって出だしがスベリ芸ですよ?出オチ要員から始めて「やだ、この人カッコイイ…!」まで持っていくって、客席のテンションを急上昇させる発動キーがこのひと声にこめられてるんですよ?誰だ、こんな鬼のような脚本&演出生み出したの!(※米山和仁さんです。)

まあ、マルさんの特盛のかっこよさなら、そのハードルを軽々と超えるだろうと期待してのことだと思うのですが。実際、おちゃめリアクション芸から入って→あ、これは強くてやばい人だ…にもっていく緩急の付け方が見事でした。そう、愛されイジられ拷問師マルさんが、舞台上に爆誕した瞬間です。

その後も、斉藤くんたちとゲームしたり、ミサキちゃんにちょっぴり冷遇されたりと美味しい役どころを満喫しておられました。

(↓新井さんご自身も初登場シーンは不安でいらしたようですが、結果は大成功でしたよ!)

 (そして3人揃うとチーム&家族感あって本当にかっこいいんですよね!)

 

大和役:窪田翔さん

副業ホストの凄腕スリ師、トリッキーな三枚目系男子を体当たり(文字通り)で演じた窪田さん 

大和くんも、原作&アニメとの差異はほぼないキャラクターでした。そしてビジュアル見た時から、あ、大丈夫だ、とすとんと納得できた人でもありました。

いかにもホスト風のお顔立ちなんだけど、美形すぎてどうしよう?みたいな美の圧迫感がないのですよね。かっこいい兼、良い塩梅に三枚目。俳優さんご自身は、とてもイケメンな方なので、これがメイクの力か!ビジュアル担当された方、よくわかっていらっしゃる!

この容姿で、低音の「へっへっへ…○○っすねぇ」が聴けるわけです。これがまた、耳にすっと入ってくる声質なのです。作り込んだ感じがしないナチュラルな声。そして息をするようにスり、情報を手渡し、ラーメンをすすって、野球をして…。

大和くんは、キャラが濃い人ばかりが集まるこの舞台では、ある意味、最もリアル寄りのキャラクターだったかもしれません。善良過ぎず、悪徳過ぎず、出過ぎず、かといってモブではなく、という人柄を演じるって、非常に高難易度のお仕事だと思うのですが、窪田さんはそれを見事にこなし、舞台上の博多に溶け込んでいました。

(↑すごく爽やかな微笑みだけど、知人から財布スったばかりですからね、彼。) 

スリ師という性質上、大和くんの働きは実にトリッキー。同時に人間関係をつなげる重要な役割を果たします。

馬場さんをミロワールに導き、林ちゃんとの出会い→榎田くん→馬場さん→(復讐屋介して)マルさんを、ぐるりとつなぐ。そして屋台にて「姿が見えない源さんをあるべき者として語る」というファンには嬉しい大役まで担っています!

榎田くんとは違った意味での、縁の下の力持ちですよね。彼がいたから、物語がよりスリリングに展開し、そして人情の輪を広げてくれたのです。

 (↑リフレイン芸、完全再現ツイート)

大和くんの真骨頂、リフレインと肩のぶつかり合いについて説明します。肩のぶつかり合い、は林ちゃんとすれ違いざまぶつかる+財布をスる=殴られて「復讐してやるからな!」という一連のアレです。

がつっと、かなり強めにぶつかっていらしたので、うわっ!と思ったものですが、やはり痛かったご様子。お疲れ様です!ちなみに「復讐してやるからな!」は好戦的な林ちゃんには捨て台詞にしてはもらえず、あわやその場で応戦されそうになったために「今じゃねえよ!後でっ!」と慌てて後ずさるという一芸が仕込まれていました。絵に描いたような三枚目だ!

そしてリフレイン芸。これは回想シーンを兼ねた演出でした。林ちゃんがマルさんに一撃復讐され「ホストの男殴ったろ?」「ああ、あいつ…」と思い出したところで、大和くんご本人が舞台に登場!「復讐してやるからな…からな…からな…からな…」の無限ループ→キレた林ちゃんが殴りかかるまで続く→やっぱり逃げる!という小ネタ。

今現在とは違う時間軸の出来事を同時進行するという舞台ならではの見せ方に、メタネタツッコミ待ちをぶっこんでくるという奇跡のマリアージュ

この芸は、馬場さん&榎田くんの情報収集場面でも再来しました。林ちゃんのスられた財布を通して、またしても大和くん召還。「この財布の持ち主、調べてくんない?…くんない?…くんない?…グッナイ」→「おやすみだって(^^♪」客席では聞き取りづらいオチを拾ってあげる榎田くん優しい!

陰に日向に、神出鬼没に活躍する大和くんの働き、たいへんGJでした!

 

重松&宗方役(二役):佐藤弘樹さん

正義の刑事でありながらメタネタ芸に全力投球する重松さんを演じた佐藤さん

 登場や役回りは原作にとても忠実でした。初登場シーンも原作&アニメそのまま…ただ、ところどころ…ちょっとおかしい。

先輩刑事が「扼殺」されたことを話す台詞の最中で、突然客席に向かって「扼殺の意味」について解説。(「薬殺」と音が同じことへの配慮も兼ねているのかな)「一つ割るたびだれかの夢が壊れる風船」を割ることに動揺、抵抗→からの絶叫「あー、○○色の夢が割れたー!!」→「夢の欠片か…」としみじみと破片を拾うという一連の流れ。これらが初登場シーンでぶっこまれているのです。

なんなんだこのメタネタカロリーの高さは。もしやこの重松さん、ニュータイプ…?という気づきどおり、彼は最後まで猛スピードで駆けてぬけていったのでした。(バッティングセンターでの空振り芸は最高でした!)

斉藤くんがコメディリリーフになることは想定できても、まさかあの職務に真剣な重松さんが!?という期待を鮮やかに裏切っていくという演出、嫌いじゃありません。実際、全然嫌味じゃないんです。

シリアスシーンはとことんシリアス、その流れとシームレスに、落ち着いた笑顔でシュールギャグをぶっこんでくるものですから、頼もしさとともに、あ、この人天然なんだな(そしてそれゆえに、こういう壊れ方を…)という空気がストレートに伝わってくる、謎の気持ちよさがありました。

わりと最初の方に、重松さんをぶっ壊してきたので、以降すべてのコントが受け入れやすくなるという効果もあり。先述した解説も自然(な笑いとともに)盛り込めるし、噛みしめるたびに美味しいスルメのようなキャラでした。

 

 渋い天然ハードボイルドの申し子、宗方さんをも演じてみせた佐藤さん!

 そして重松さんは、宗方さんとの二役!この発表を知った時の衝撃たるや…。刑事と、その敵役という対照的な立ち位置はもちろん、ビジュアルも内面もまるで違う二人を、同じ舞台上で演じ分けるってどういうこと!?と二役未観劇の私はそれはもう混乱したものでした。

が、佐藤さんは凄かった!声のトーン、話し口調、歩き方、立ち居振る舞い、たたずまいからして、まるでそれぞれ別人が演じているかのような変貌ぶりでした。こうして写真見比べてみると顔の骨格さえ変わって見えるような!?これを120分の間に何度繰り返したのか…。

いやもうプロってすごい。全キャラクターが登場するOPでもそれを逆手に取った演出がなされていて、しびれましたね、早着替えかっこよかった!

そんな佐藤さんが表現した宗方さんは、 原作以上に渋い中間管理職系ボスそのもの!にわか侍との因縁シーンも完全リボーンされていて、感激しました!スコープに脇差がー!の例のシーンは、音と光、そして心折られた宗方さんの絶望、恐れが混然一体となって、二度見て二度ともハッとさせられる鋭い演出でした。

そして再戦時、同じ地平に立っての日本刀ファイトには「ああ、やっとお前を殺れる!」というギラギラした、人間と殺し屋、両方の刹那の喜びが感じられて、ドキドキしてしまいました。にわか侍への執着心、このあたりに、舞台版・宗方さんの人間味がとても強く表れていたと思います。

そして、イワノフ、紫之原が不在で一家の大黒柱感が薄れたぶん、より麗子さんとのバディ密度が増しているように思えました。ここでやはり触れたくなるのは、随所に入るド天然シュールボケでしょうか。

超近距離なのに麗子さんとクールに通話(そしてツッコまれる)、無意味にワイプ(左上の謎の穴)から登場(そしてツッコまれる)、「その眼帯、もしファッションだったら嫌だなって…」「ファッションだ」「嘘でしょう!?」「嘘だ」(そしてガチで怒られる)、堕天ドリンクを淡々と味わいながら榎田くんと同道(そして姿を明かされ素で驚く)…等々、一人でもズレてて面白いのに、麗子さんのツッコミによってさらに深く輝くコンビ力、まぶしかった。

佐藤さんというお一人が演じたことで、『白鳥の湖』のオデットとオディールにも通ずる演技の超絶技巧感と、全く異なる人間の両極性を堪能するという、凄まじい演劇体験ができました。ありがとうございます!二役、お疲れ様でした。

 

麗子役:永瀬千裕さん

暗殺爆破ツッコミ剣戟なんでこもこなす奇跡のクールビューティ・麗子さんを演じた永瀬さん 

 (↑アップに耐える美貌!)

 先述したとおり、原作&アニメの麗子さんに更なる輝きが加わった舞台版ハイパー麗子さんです!髪つやっつや、メイクばっちり、すらっと長身、ヒールのおみ足から髪をすく指先から何からどんなポーズをとっていても麗しく、斉藤くんを目に留め(いい生贄がいた!)という瞬間の満面の肉食笑顔等々、美しすぎる市長秘書として全国の話題を席巻しないのが不思議なレベル!林ちゃんとはジャンルの違う女神と言ってよいでしょう。

また、話し方が素敵なんです!「~わよ、よね」と、仕事ができるいい女っぷりで、しかし媚びず下らず、内面の強さかっこよさだけが、すっと前面に出るような声質。もう耳が幸せで、ずっと聞いていたかった…。

もちろん、麗しいのは見た目だけではない!市長チーム屈指の仕事人としての腕前です。変態息子さんとの折衝役を担当し、彼と接するときには全身から嫌悪むき出しといった表情で真っ当にお説教し続ける姿は、部下としての苦労、そして客席の代弁でもあり、思わず前のめりになりました。あれ「いいぞ、もっとやれ!」「自分もあんな風に叱ってほしい…」の両方の欲に応える需要があると思うんですよね。どっちも圧してほしいツボを刺激してくださるという。

また紫之原の要素が集約されたことで爆発物の仕込みもお手の物!爆破シーンの場面、赤黒く染まったライトの下を、舞台右袖から泳ぐように踊るようにふわふわっと現れて…ふっ、としゃがみこんでからの、ズドーン!の流れ、最っ高です。はっとする照明のコントラスト、手指の動きが美しいシルエットだけで舞台上を進んでいく姿が近づいてくる演出に震えました。

そしてジローさんとのvs日本刀!ごく短時間の殺陣であり、かつ負け戦なのですが、あの危機的状況で刀とって闘うという選択肢からして美しいんですよ。「かわいい顔して、とんだじゃじゃ馬じゃない?」というジローさん評が、完璧に褒め言葉として伝わってくる。斬られ役という伝統的魅せ役に例えるなら、麗子さんは斬り折られ役でしょうか。屈服させられた姿さえ麗しかったです。

宗方さんとの同僚漫才(アニメだと上司部下感ありましたが、舞台は同僚感が強かったと思います)の素敵さは、先述しましたが、ここで麗子さん渾身のボケかました場面にも触れておきましょう。ネカフェという空間において、なぜかプリンターに擬態した麗子さんです。「ウィーガシャン、ウィーガシャン…○○○○」と、動作音の最後に実在の企業名で締めるっていう、きわめて高度な自分モノボケ。終始クールで熱い麗子さんが唯一ぶっ壊れた瞬間です。だが、それもいい。全てがいいのです!

 

原田ユウスケ役:松田将希さん

 変態性癖の多重犯罪者、お腹の中は真っ黒クズスケ救いようなし市長令息を全身全霊で演じきった松田さん

 我ながら本当に酷い人物評から始まりましたが、事実なんだから仕方がない。原作及び他のメディアミックスだと、ここまで腐敗した理由は父親(こちらもドス黒い人)にあるらしい…と、確執を示唆する描写があるのですが、舞台では触れません。その分、当人の素材のみでじっくりことこと煮込んだ結晶純度の高い暗黒、言うなれば純黒仕様のクズ息子さんが降臨!

これも随分と思い切った設定です。極端に悪い人って作りやこみすくはありますが、受け入れる側にはなかなか負担。スカッとじゃぱんどころか、作品の印象自体悪くなってしまう恐れもある。「犯罪者ばかりなのに軽妙洒脱な人情劇=はかとん」という図式が崩れてしまうかもしれない…。

 しかし舞台版ユウスケ、写真の通り、ものすっごいイケメン。母性本能くすぐるというか、少女漫画系甘え上手年下男子の香りがぷんぷんします!でもクズ!あますところないド黒!この容姿で「どっちも~、あ、これ、ダブルミーニングってやつぅ?」「次の女の子まだぁ~?」とか、耳障りなことを平気でぬかす。だがcv:逢坂良太ばりのイケボだ!みたいな。

もう、脳が混乱しました。イケメンを堪能すればいいのか、一部の隙も無いクズさに震え上がればいいのか。迷った結果、ありのままを受け入れました。こいつはこういうやつやで…と。すると、とても楽しくなりました。骨格筋が機能してなさそうなヤンキー座り、へらへら笑いで酸素を無駄遣いし、女の子が入ったスーツケースにまたがってシャーッと短距離走(毎回、上手かった!)…等々、ゆるーく繰り出される悪事の数々に魅了されていきました。このオンリーワン・クズ・エレクトリカルパレードは、癖になる。

そしてクライマックス!麗子さんに蔑まれたのち見捨てられ、林ちゃんと相対、斉藤くんのウィニングショットで沈み、にわか侍の尋問&林ちゃん怒りの拳、マルさんの拷問&ジローさんの朗読「カブトムシのひみつ」で撃沈…というフルコース、いいえ、フルボッコられ役としての面目躍如を果たされたのでした。

このすっきりブラボーな爽快感は、松田さんが全身全霊でクズに堕天してくださってこそのもの。堕天使ユウスケ、本当にお疲れ様でした!

 (↑これはこれで親子っぽい写真。宗方さん全力で嫌がりそうだけど。)

 

アンサンブルのみなさん 

 舞台上の様々な役をこなしておられたアンサンブルのみなさん、そのハイパーお仕事ぶりは凄まじいものでした。縦横無尽に様々な役をこなし、銃撃、剣戟、徒手空拳の乱闘シーンではアクション魅せレベルを大幅に底上げ。縁の下どころじゃない、もう主役を食う勢いでゴリゴリ押して押して押しまくって、舞台上で輝いておられました!

 

 斉藤くんの上司や、クラブミロワールのマネージャーを務めた山口日明さん

特にメタネタカロリー産出量が大きかった山口さん。上司として斉藤くんにネタ穴埋め(は・か・た・の…?)を笑顔で促し、ミロワールにかちこみかけた馬場さん日替わりネタを全力で受け止めた挙句に煽る煽る

罵倒ツッコミの内容によると、なんと初舞台だったそうです!とてもそんな風には見えない、堂々とした役者っぷりでした。今後のご活躍に注目していきたいですね!

 

 持ち逃げカップル(女)や、林ちゃんの妹・僑梅(チャオメイ)を演じた瀬戸ひなのさん

同一人物が演じていると気が付いたのは、観劇二度目でした。びっくり!僑梅ちゃんは劇中、一度も話さないのです。無言のたたずまいで、純朴な少女像を観客の脳裏に浮かび上がらせるような演出が取られていました。

EDのダンスにも登壇されたのですが、それがもうかんわいい!林ちゃんの野球帽を笑顔で、さっと取り被る!カテコ時もずっと手に持ってる!キャラを大事にしたかわいさが眩しかった!

 

こいつだけは絶対に倒すべき悪役の長として立ちふさがった池田光毅さん

見た目が率直にアウトロー的だったのが、張役:池田さんだと思います!何を口にしても、裏社会の幹部感が漂うその風格。まだお若いのに!林ちゃんとの因縁の殺陣シーンは見ごたえありましたね。まさしく「この腕一本でのし上がってきた」説得力に溢れていました。

日替わりネタ:イワノフっぽい人への命名権も、全13公演ごとの切り替えで、すごいプレッシャーだったと思いますが見事果たされました。フ○ッコのお○めさん、個人的に超好き

 

悪徳市長・原田を力強く演じてみせた佐々木柔さん

 市長の台詞があるのは、ごく初期の演説シーンのみなのですが、それだけでも強い存在感がありました。「グローバルシティ博多、グローバルシティ博多!」という土地勘を印象付ける台詞以降、その威光が舞台上にみなぎって、市長チームにも影響力を与え続けているような。

社会的地位の高い倍年齢以上の男性を演じ、そして「再現写真シーン」の無茶ぶりにも応えて見せた佐々木さん、その輝きは底力に満ちていました!

 

 動物虐待犯の極悪高校生をコミカルに演じた松本龍之介さん

 復讐屋一家に調伏されるやられ役、という大役でしたがこれがまた面白くて面白くて!マルさんに腕を後ろ手で固められたところを「イタイイタイイタイイタイイタイ!」と間断なく訴え続けるシンプルさで笑いをとりに来た挙句、ミサキちゃんの「だまれ。」で沈黙するという、大変おいしい役。

拷問される際も、閻魔大王しか使わなさそうな巨大やっとこに翻弄されるという、想像力を駆使した悲鳴で対応されていました…!ただ悲痛な叫びじゃダメなんですよね、客席に届くおかしさを混ぜ込まなきゃいけない。難しい役柄、ごちそうさまでした。

 

舞台の輝きを、もっと感じてほしい!

 俳優、スタッフさん共に博多豚骨ラーメンズ」への熱い愛があふれていた舞台、その片鱗を舞台感想以外でも感じてほしい!ということで、いくつかトピックを挙げて全力追尾します。

 

お誕生日おめでとう!

舞台中に、お誕生日を迎えられた方がお二人いらっしゃいました!

林憲明生誕祭2019

 舞台千秋楽前日、7月20日は林ちゃんのお誕生日!(出典:『博多豚骨ラーメンズ』のキャラクター設定について|木崎ちあき|noteということで、Twitter上でも三次元でも、ファンのみなさん大いに盛り上がったわけですが、もちろん演じていたこの方も、熱いメッセージで誕生日を言祝ぎました!

 

熱い!そして美し過ぎる!

舞台中にキャラクターの誕生日を迎える、というのは舞台上で実際にその人として生きる俳優さんにとって、格別の思いがあったのではないかと思います。演じ手に祝われた林ちゃんも、きっと嬉しかったはず!改めて、お誕生日おめでとございます!

 

(↑お祝い風景は、こんな感じだそうです!)

 

松田将希生誕祭2019

公演4日目、7月16日は原田ユウスケ役:松田将希さんの26歳のお誕生日!当日公演のカテコで、サプライズパーティーが行われたそうです!

記念写真に漂う何がしかのキング感、さすがはクズ息子(※あくまで役柄)さんやで!

松田さんは福岡県のご出身で、この舞台に並々ならぬ思い入れがあったそう。舞台上でのサプライズお誕生日会、本当にうれしかったのでしょうね。ぜひとも生で拝みたかったです!改めて、お誕生日おめでとうございます!

 

みなさんのブログより

舞台終了後、俳優さん、そして木崎ちあき先生ご自身が、ブログに感想記事を公開してらっしゃいます。

演じた皆さんの思い、千秋楽を観劇された木崎先生の感動を、熱い言葉で感じましょう!

 

舞台特集記事リンク集

毎度おなじみ、WEBメディアの舞台特集記事リンク集です。

engekisengen.com

一番上は、主演二人のインタビュー記事。「既に答えがある」という原作ありきの舞台に立つ緊張感、役への思い入れがひしひしと伝わってきます。女装姿のまま取材を受けた竹中さんの語りは必読です!

 

おわりに

観劇から二週間弱、ずっと頭に渦巻いていたことを形にできて、ひとまずほっとしています。しかし約2万8000字かかるとは、いったい誰が予想したでしょうか…。(遠い目)信じられないかもしれませんが、あれから毎日書いてたんですよ…?

今でもまだ夢を見ているような気分ですが、でもあれは紛れもなく現実だったんだなと。あの時の躍動感を、胸ときめかせながら思い出します。観劇後に、はかとんファンの方々と語り合う機会があったことも、一生の思い出です。(その節はお世話になりました!優しくしていただき、ありがとうございました。)

脳内と現実を埋めるためにも、はやくDVDが見たい!そして博多公演、続く第二弾を実現させたい!という気持ちで胸がいっぱいです。アニメ、原作と同じく、これからも舞台はかとんを応援していきます!

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。<(_ _)> 

 

 

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